行動経済学の役割
経済学の古典的なモデルは常に、人間は最適な行動を行うもとにつくられてきました。しかしながら、人間が常に最適な解をモデル通りに行動するとは限りません。行動経済学は、このような人々の仮定が標準化された経済学のモデルに一石を投じています。
最適化を求められたモデルが実際に人間を映し出しているのかの、仮定を和らげたり、もう少し人間のパターンを導入したり新しいモデルをつくり、それが人間の行動を表現している役目をおってり、今なお様々な理論形成、実証研究がされています。
そこで今回は既に日本語でも様々な教科書が発売され、また一般向け本、翻訳書がでておりそれらを紹介します。行動経済学の中では様ざなな用語(サンクコスト、プロスペクト理論、現状維持バイアスアンカリング、メンタルアカウンディング、ナッジ、など)がでてきますが、それらを自身の口で説明したり、それらを自身の経験などに例えることができるよう熟読してみましょう。
行動経済学の教科書
行動経済学入門
タイトル通りの入門書となります。また形式は教科書・テキストとしてを意識して書かれており、読みやすく体系化されています。まずは行動経済学がどのような体系になっているか知るのにこちらの入門の教科書として最適です。大学の講義の教科書、参考書等にもなっていますが、行動経済学そのものを理解したい社会人にもおすすめとなります。ミクロ経済学の知識を知っていると良いですが、これから読み始めても良いです。
行動経済学 — 伝統的経済学との統合による新しい経済学を目指して 新版
伝統経済学は、人々が生来の選好の下で利己的な利益を最大化する「経済合理性」という節目から始まり、行動経済学の流れやスタンスも記載しています。また神経経済学の章立てがあるのも特徴です。経済行動の基礎となる脳のメカニズムを解明することで経済原理に何をもたらせるかを知ることができます。
こちらは学部3年生から大学院生までが利用するテキストとなるかたちです。行動経済学の進歩に伴い、すでに新版としてアップデートされており、さらなる論文などもこれを読んだあとにチャレンジしてみるのも良いでしょう。
実験経済学・行動経済学15講
本書は行動経済学とともに注目されている実験経済学も含めているテキストタイプとなります。近年実験経済学と行動経済学はともに発展してきた経緯もあり、他の書籍にはないトピックを扱っています。どちらかというと本書は行動経済学の書籍を読んでみてその中で実験経済学の位置づけを深堀りしたい人向けになります。
〔エッセンシャル版〕行動経済学
こちらはOXFORD出版から出ている、Very Short Introductionsの行動経済学トピックの翻訳版となります。教科書の部類の中でも、端的にまとまっている一冊になりますが、行動経済学でのスタンダードなトピックを扱っています。一度教科書的な側面からさくっと知りたい人向けになりますが、Very Short Introductionsシリーズですので、校正などもコンパクトながら最短で知識を入れられます。
名古屋商科大学ビジネススクール ケースメソッドMBA実況中継 04 行動経済学
お金が絡む真剣な意思決定においても、人間が合理的でない意思決定を行うことがあります。非合理的な経済的意思決定は人間が早い段階で身につけた脳のシステムなのです。本書は、社会人受講生による、経済活動の重要な場面で非合理な行動を取ってしまったケースの討論を記録しています。行動経済学の入門書として最適な一冊です。
行動経済学の一般向けトピック本
ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?
2002年のノーベル経済学賞受賞者であるダニエル・カーネマンの名著となります。これまで多くの共同研究していたトベルスキーとの論文などを平易な言葉で日常での経験なども踏まえて書かれいます。行動経済学の古典の1つとして今後も残るであろう一冊になります。人々が行った判断に対して陥るエラーやパターン、その原因を探る分野にもなる行動経済学の面白さを伝えています。
行動経済学の逆襲
行動経済学の成り立ちを同じく2017年に行動経済学の分野リチャード・セイラー・セイラーによる書籍となります。人間が行動の偏見をもたらし、エラーが発生しやすく、常に合理的であるとは限らないという視点を提示しようとするセイラーの業績を彼がこれまでのアカデミアでの中での経験ととのに書かれています。
実践 行動経済学
同じく、行動経済学の逆襲の著者、リチャード・セイラーにと、法学者である キャス・サンスティーンよる書籍で原書のタイトルであるnudge(ナッジ)について焦点を当て書かれています。nudge(ナッジ)は「ひじで軽く突く」から派生してここでは政策などで「そっと後押しする」という形で使われ、強制的な命令では人間は動かないものをうまく行動パターンを変えてあげるようなことです。
データで見る行動経済学 全世界大規模調査で見えてきた「ナッジの真実」
ナッジとは、選択の自由がありながらも人々を特定の方向に導く介入のことを言います。ナッジによる政策は、すでに世界各地の政府で導入されており、よりよく機能させるための研究も進んでいます。ではその国々で暮らす人々は、ナッジによる政策をどのように考えているのでしょうか。本書では、調査で明らかになったさまざまな国の人々の考え方についての発見を報告していきます。
医療現場の行動経済学―すれ違う医者と患者
患者の意思決定には行動経済学的バイアスが存在し、医者の表現の仕方によって患者の意思決定が違ってくることがあるのです。医師と患者の会話の中で、どのような行動経済学的バイアスが観察されるのか。患者の意思決定を支援するために行動経済学がどのように応用できるか。本書は、このような患者がより良い意思決定をするために必要なことについて詳しく書かれています。医療従事者はもちろん、これから患者となり意思決定をする可能性のある全ての人におすすめの本です。
マンガでわかる行動経済学 いつも同じ店で食事をしてしまうのはなぜギャンブラーは自信満々なのか
行動経済学は経済行動に関する人の動きをわかりやすく教えてくれる学問で、非常に身近なところでも活用されています。本書では、「ギャンブルをする人が自信満々な理由」「1,980円が安く見えるのはなぜか」など、たくさんの事例を紹介しながらどうしてそうなるのかを、心理学や脳科学のアプローチも使って説明していきます。
行動経済学 感情に揺れる経済心理
行動経済学では、人間は経済計算だけで判断するのではなく、怖れ、自信過剰、公開といった感情に日々揺れる存在として考えます。最近では行動経済学が広く受け入れられるようになってきましたが、それまでの長い間、行動経済学は疎外されてきました。本書では、経済学の歴史の中での行動経済学の位置づけや、行動経済学の最先端の研究についてを紹介しています。最新の行動経済学を知りたい人におすすめです。
不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」
『予想どおりに不合理』の著者による、行動経済学についての第2弾です。1冊目よりも、本書はより具体的でわかりやすくなっており、行動経済学や人の心理に興味があると言う人は興味深く読むことができる一冊になっています。『予想どおりに不合理』を読んでいる人でも読んでいない人でも楽しめます。
予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
ダイエットをすると決めた直後にスイーツを食べてしまう、など不合理な選択をしてしまう場面が多くあると思います。本書では、このような自分の生活や仕事、世界観に関わるさまざまな疑問に関する答えを見つけることができます。不合理な選択の仕組みを知ることで、自分や周りの人たちを動かしているものが何なのかを根本から見つめ直す手助けとなります。
サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学
行動経済学を学び、自分自身の非合理的な側面を知ることは、ひいては無駄遣いを減らしたり、不必要な消費を抑えたりすることにつながります。また、消費者の行動を理解することで、密集を防ぐためのキャンペーンに有効活用されるなど、マーケティングの質も大きく変わります。本書は消費する側にもされる側にもメリットを与える、そんな行動経済学について解説した入門書です。
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