1章 – 本章のポイント2
人々の経済的な関わり合い(相互作用)についての基本的な原則は以下の通り。交易や相互依存は互いにとって便益をもたらす。市場は経済活動を統合するうえで通常は良い方法である。政府は市場の失敗を是正するか、経済的公正性を促すことで、市場がもたらす結果を改善できる場合がある。
1) 交易や相互依存は互いにとって便益をもたらす
AとBが「パン」と「ジャム」を作れる(1日8時間働ける)とする。
- A:パン 1個=1時間/ジャム 1瓶=2時間
- B:パン 1個=2時間/ジャム 1瓶=1時間
交易しない(各自で半分ずつ作る)
- A:パン4個(4h)+ジャム2瓶(4h)
- B:パン2個(4h)+ジャム4瓶(4h)
合計:パン 6個、ジャム 6瓶
専門化して交易する
- A:パンだけ8個
- B:ジャムだけ8瓶
合計:パン 8個、ジャム 8瓶
→ 交易前よりパンもジャムも増える(合計が増える)。だから、うまく専門化して交換すれば、AもBも取り分を増やせるのが基本。
2) 市場は経済活動を統合するうえで通常は良い方法
商品を「弁当」にします(学園祭でも会社の売店でもOK)。
- 価格が 400円:買いたい量(需要)100個
- 価格が 600円:買いたい量(需要)60個
- 価格が 400円:売りたい量(供給)50個
- 価格が 600円:売りたい量(供給)80個
価格が400円だと
需要100 > 供給50 → 品不足(行列・売り切れ)
価格が600円だと
需要60 < 供給80 → 余り(売れ残り)
たとえば500円のときに「需要80個、供給80個」となるなら、ちょうど釣り合う。
→ 市場では「価格」が信号になって、供給側は「増やす/減らす」、需要側は「買う/我慢する」が調整され、全体がまとまりやすい、という意味で“統合する良い方法”になりやすい。
3) 政府は市場の失敗の是正や公正性の促進で改善できる場合がある
(A) 市場の失敗(外部性)の例:騒音や煙の被害
工場が製品を1個作るとき
- 工場が払うコスト(私的費用):300円
- 近隣住民に発生する被害(外部コスト):100円
- 社会全体の本当の費用(社会的費用):400円
市場に任せると工場は300円しか見ないので、作りすぎになりがち。
政府が「1個あたり100円の課税(または排出権コスト)」をかけると、工場が感じるコストが 300+100=400円 になり、
→ 作りすぎが抑えられて、市場の失敗が是正されやすい。
(B) 公正性の例:所得の再分配
- A:月収 80万円
- B:月収 20万円
政府が(例として)
- Aから税で 10万円徴収し
- Bへ給付で 10万円支給すると
A:70万円、B:30万円
→ 生活の最低ラインを守りやすくなり、公正性の面で結果を改善できる場合がある。