1章 – 本章のポイント1
本章のポイント
● 個々の意思決定についての基本的な原則は以下の通り。人々は代替的な目標の間でトレードオフに直面する。どんな行動の費用も失われた機会によって測定される。合理的な人々は限界費用と限界便益を比較して意思決定を行う。人々は直面するインセンティブに応じて行動を変化させる。
1) 人々は代替的な目標の間でトレードオフに直面する
状況:土曜の夜(3時間だけ自由時間)
- 目標A:アルバイトしてお金を増やす
- 時給 1,200円 × 3時間 = 3,600円
- 目標B:友達と映画に行って楽しむ
- 楽しさ(満足度)を仮に 「30ポイント」 とする
→ 3時間は同時に両方できないので、「3,600円」か「30ポイント」かを選ぶ必要がある。これがトレードオフ。
2) どんな行動の費用も失われた機会(機会費用)によって測定される
Aさんが「映画」を選んだ場合、見える支出は:
- 映画代:1,800円
でも本当の“費用”はそれだけじゃない。アルバイトをしなかったことで失ったもの:
- 失ったアルバイト収入:3,600円
なので映画の機会費用(簡単な例)は
1,800円(支出) + 3,600円(失った収入) = 5,400円相当
→ 「映画は1,800円で観られる」ではなく、別の選択を捨てた分も含めて高くつく、という考え方。
3) 合理的な人々は限界費用と限界便益を比較して意思決定する
状況:テスト勉強を追加で1時間するか?
すでに2時間勉強済みで、追加1時間の効果(便益)がだんだん小さくなる(限界便益の低下)とする。
- 追加1時間の限界便益:点数が +4点 上がりそう
- 1点の価値を(奨学金や評価など含め)仮に 「1点=500円相当」 と置く
- 便益 = 4点 × 500円 = 2,000円相当
- 追加1時間の限界費用:その1時間で本来できたこと
- アルバイト(時給1,200円)を1時間できた → 1,200円相当
- さらに疲れ(しんどさ)を 300円相当 と見積もる
- 費用 = 1,200 + 300 = 1,500円相当
比較すると:
- 限界便益 2,000 > 限界費用 1,500 → 追加で1時間勉強するのが合理的
逆に、もう十分勉強していて追加1時間で +2点 しか上がらないなら:
- 便益 = 2点×500 = 1,000円相当
- 費用 = 1,500円相当
→ やらない方が合理的(ここが「限界で考える」ポイント)。
4) 人々は直面するインセンティブに応じて行動を変化させる
状況:同じアルバイトでも、時給が変わったら?
- 以前:時給 1,200円
- 映画に行く(3時間)を選んだときの「失う収入」 = 3,600円
- もし繁忙期で:時給 1,800円 に上がったら
- 失う収入 = 1,800×3 = 5,400円
→ 映画に行く“機会費用”が上がったので、Aさんは
「今日はバイトにして、映画は別日にしよう」と行動を変えやすい。
これがインセンティブ(時給アップ)に反応している例。