ケインズ全集第3巻 条約の改正

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<div class=”kattene__title”><a target=”_blank” href=” https://amzn.to/3txWNui “> ケインズ全集 第3巻 条約の改正 </a></div>
<div class=”kattene__description”> ケインズ (著), 千田 純一 (翻訳) </div>
<div class=”kattene__description”>出版社 : 東洋経済新報社 (1978/1/1)、出典:出版社HP</div>
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目次

 

「ケインズ全集」日本語版の序文

 

凡例.

 

全巻の序文

 

編集者序文

 

序文

 

第一章 世論の状態

 

第二章 ヴェルサイユ条約の批准から第二回ロンドン最後通告まで:

 

補注一 石炭

 

補注二 ライン川以東のドイツ領占領の適法性

 

第三章 ロンドン協定の負担

 

補注三 ヴィースバーデン協定

 

補注四 マルク為替

 

第四章 賠償金額:

 

補注五 一九二二年五月一日以前の受取りと支払い

 

補注六 連合国間における受取額の配分:

 

第五章 恩給に対する要求の適法性:

 

第六章 賠償、連合国間の債務、および国際貿易

 

第七章 条約の改正とヨーロッパの安定

 

文書付録

 

一 スパー協定、一九二〇年七月

 

二 パリ決議、一九二一年一月

 

三 各連合国より賠償委員会へ提出された請求額、一九二一年二月

 

四 第一回ロンドン最後通告、一九二一年三月

 

五 ドイツの対案、一九二一年四月

 

六 賠償委員会発表の評価、一九二一年四月

 

七 第二回ロンドン最後通告、一九二一年五月

 

八 ヴィースバーデン協定、一九二一年一〇月

 

九 政府間債務表

 

一〇 カンヌ・モラトリアム、一九二三年一月

 

訳者あとがき

 

主要人物注解

 

索引(卷末)

 

編集者序文

 

『条約の改正』は、主として、一九二一年の夏から秋にかけて〔ケインズが〕ハーコート(〔Alfred〕Harcourt)およびブレイス(〔Donald〕Brace)と行なった話合いの中から生まれた産物である。一九二一年六月、ケインズはアルフレッド・ハーコートに対して、『平和の経済的帰結』の「最終改訂版」を一九二一年末に出版しうるよう準備する、との提案を行なった。彼は、その版のためにおよそ四〇ページの序文を新たに書くこと、旧版はこれをそのままにしておくこと、そして『経済的帰結』の諸章に脚注または一連の付論を付加して新しい諸事実と諸批判とを取り扱うこと、を提案したのである。

 

この提案に対して、アルフレッド・ハーコートは六月末に、ケインズは、「新しい材料から新しい書物を造ることに対して、また」彼が必要とする「『平和の経済的帰結』のなかの古い材料に対してさえ、信仰心あふれる敬意に近いものを払っている」、と返事をしている。ハーコートは、公衆は改訂版を購読するよりは単に書評を見て改訂個所に注目するだけのことであり、またケインズも旧著の制約から解放されたほうがいっそう良い書物を書けることであろうと述べ、〔提案の〕言直しを強く主張した。

 

ケインズは、いち早くこの意見を受け入れたように思われる。なぜなら、彼は八月三日にハーコート宛に、「『平和の経済的帰結』への追補」と題する約四万語に及ぶ書物の目次の草案を送っているからである。この興味深い目次の草案は、次のようになっていた。

 

「『平和の経済的帰結』への追補」

 

序文

 

一 一九二一年の経済の展望に関する諸論文  二万語

 

A 貨幣の減価

 

B ドイツ

 

二 賠償金額           六○○○語

 

三 平和会議に関する諸著作        五○○○語

 

四 ヨーロッパの将来       八○○○語

 

『平和の経済的帰結』に関する文献目録     一〇〇〇語

 

一一月までは情勢に変化はなかったが、その間ケインズは、アルフレッド・ハーコートの提携者でロンドン在住のメドナルド・ブレイスと話し合い、ケインズが提案した「ドイツの賠償――『平和の経済的帰結』への追補」という新しい書名に彼が不満をもっていることを知った。一九二一年一一月二日、ケインズはブレイス宛に、「『条約の改正』――平和の経済的帰結』の続編」という新しい提案を書き送り、また、一、二の細目を除いて最終的に印刷に付されることとなった改訂目次表を送付した。

 

『条約の改正』は、一九二二年一月にイギリスで出版された。第一刷の一万部はすぐに売り切れそうに思われたため、一九二二年二月に増刷された。増刷分は、一九二二年七月に配布されたが、その時までの英語版の販売部数は六八三九部であった。増刷版では若干の些細な訂正が加えられ、一九二二年一月のカンヌ・モラトリアムの文書が追加された。本版は、当時の出版者による過度の頭文字の使用を取り止めたという一つの変更を除いて、一九二二年の英語増刷版に拠っている。

 

本書は、ハーコート・ブレイス社によってアメリカ市場向けのものが別に印刷され、出版された。本書は、フランス語、ドイッ語、イタリア語、オランダ語、スウェーデン語、日本語、およびロシア語に翻訳された。これらの翻訳書にはいずれも、英語版のもとの序文の翻訳が付せられている。ただ、『平和の経済的帰結』と違って、『条約の改正』のフランス語版――フランスの読者にはあまりに文字通りの翻訳書名は受け入れられないと思われたので、『平和の帰結に関する新考察』という書名で公刊された――には、ケインズ自身による特別の序文がなく、出版者の手になる短い編集者序文が付せられていたが、それはまったく学問的重要性のないものである。

 

[1] 日本語訳としては、福田久徳訳『講和条約の改訂』(一誠社、大正一一年)がある。

 

イタリア語版は、「文書付録」に二つの文書――アメリカの覚え書と一九二二年三月の賠償委員会の決定――が余分に含まれているという点で、英語増刷版およびその他のすべての版とは異なっている。これらいずれの文書もケインズ自身の筆になるものを少しも含んでおらず、かつ本版には採録されていない。

 

序文

 

一九一九年一二月に私が公刊した『平和の経済的帰結』は、改訂や補正を加えることなくしばしば版を重ねてきた。その後われわれの知識には非常に多くの諸事実が付加されているので、右の著書の改訂版を公刊することは適切ではないであろう。そこで、私は、それはそのままにしておいて、事態の推移につれて必要となった訂正と増補を、現状に対する私の評言と併わせて、この『続編』に収録するのが賢明であると考えた。

 

しかし、本書は、まさにあるがままのもの――すなわち『続編』である。付録といってもよかったぐらいである。私は、基本的論点に関しては、なにもとくに新しく付言するものをもたない。二年前に私が提案した救済策のいくつかは、いまやすべての人々の決まり文句となっている。私は、それに付け加えて人を驚かすようなものはなにも持っていない。私の目的は厳密に限定されたもの、すなわち、賠償問題を現在の状況の下で理論的に再考するための事実と材料とを提供することである。

 

ラ・ヴァンデにある自分の松林において、クレマンソー(Clemenceau)氏は、「この森の大いなる真実は、ここではロイド・ジョージ(Lloyd  George)やウイルソン(Wilson)大統領のような人物に会う可能性はまったくないということだ。ここには栗鼠のほかにはなにものもいない」といった。私は、本書についてこれと同じような長所を主張したいのである。

 

一九二一年一二月

 

ケンブリッジ、キングズ・カレッジ

 

J・M・ケインズ

 

訳者あとがき

一 本書はJ. M. Keynes, A Revision of the Treaty――being a Sequel to the Economic Consequences of the Peace, 1971 (Ist ed., 1922) (The Collected Writings of John Maynard Keynes, Vol. III) の全訳である。

 

原著の邦訳として、福田久徳訳『講和条約の改訂』(一誠社、大正一一年)があるが、これは抄訳であるうえに一般に広く利用されなかったようであるから、本書が実質的にはわが国における最初の邦訳であるといってよい。

 

一 本書の基本的性格は、右の原書名から明らかなように、また著者も明言しているように、ケインズの前著『平和の経済的帰結』(初版一九一九年)の続編である。

 

いうまでもなく前著は、第一次大戦後のパリ平和会議イギリス大蔵省代表の地位を辞したケインズが、辞任六ヵ月後、パリ平和会議におけるドイッ賠償問題の取扱いの不当性を弾劾する目的で出版した論駁書である。著者によれば、前著の主要な目的は、(一)連合国の対ドイツ賠償請求額はドイツの支払能力を超えていること、(二)ヨーロッパの経済的連帯性はきわめて綿密であるから、このような請求額を強いて取り立てることはヨーロッパを破滅させるであろうということ、(三)連合国、ことにフランスとベルギーの戦災見積額には大きな誇張があること、(四)賠償請求額の中に恩給と諸手当てを含めることは信義に反すること、(五)賠償請求額は、これを正しく計算すればドイツの支払能力の範囲内の金額になること、を論証することであった(本書七八ページ参照)。

 

このようなねらいをもった前著は、きわめて大きな反響を呼び、世論の動向に大きな影響を与えると共に、ケインズを一躍世界の舞台に押し上げた。その出版以来、賛否両論の論議が沸騰し、また事態も目まぐるしく変転した。そこでケインズは、ドイツ賠償問題についてさらに見解を発表する必要を感じ、前著の三年後に著わしたのが本書であった。すなわち本書は、前著公刊以後のドイッ賠償問題をめぐる事態の推移を追跡・評価し、かつ当該問題に対する著者の年来の主張の正しさを確認しつつ新事態に対応した恒久的解決策なるものを提示したものである。

 

本書は、前著と同様に筆鋒は鋭く、論敵に対する反駁は峻烈を極め、人物評価は辛辣であり、興味深いエピソードをちりばめた格調高い文章で綴られている。また問題の経済的背景に対しても、パリ平和会議に出席した経験のある者のみが持ちうる豊富な知識と資料にもとづいた緻密な議論が展開されており、前著と同様に本書も、第一級の論駁書であるといえよう。

 

一 このような性格からみて、本書は前著に引き続いて読まれることが望ましい。また本書の時代的背景や、本書執筆当時のケインズについては、前著邦訳に付された「訳者あとがき」の中で指摘されている参考文献にあたることが有益であろう。もっとも直接的な参考文献としては、ハロッド著・塩野谷九十九訳『ケインズ伝』(東洋経済新報社、昭和四二年)の第六、七、八章を推したいと思う。また、前記「訳者あとがき」の中にはヴェルサイユ条約などについての早坂忠氏のすぐれた解説があり、本書の訳者自身も恩恵を蒙った。

 

一 次に、本書各章の内容を解説しておこう。第一章「世論の状態」においてケインズは、賠償問題に関して外部の意見と内部の意見との懸隔が存在すること、一般大衆やジャーナリズムは現実を直視することを避けて外部の意見を主張しがちであること、政治家もまたそのような傾向に抵抗する勇気がなく、むしろそれに迎合して外音の意見と、内部の意見との懸隔を増幅していることなどを、やや皮肉な調子で批判している。

 

そしてケインズは、それにもかかわらず事実の重みによっていまや内部の意見が次第に優勢になり、ヨーロッパの諸国民も理性をもって内部の意見に耳を傾ける準備ができているので、大衆に思慮深く語りかけることはもはや無益なことではなくなった、と述べている。

 

第二章「ヴェルサイユ条約の批准」においては、ヴェルサイユ条約の批准・発効からロンドン賠償協定の決定にいたるまでの相次ぐ国際会議の模様が、簡潔に述べられている。一九一九年六月二八日に調印されたヴェルサイユ条約は、一九二〇年一月一〇日に批准され、発効したのであるが、同条約はドイツが賠償すべき損害の種類について規定したのみで、その金額については連合国間の対立のため規定していなかった。そこで賠償の金額、支払方法、受取金の連合国間への配分などが直ちに問題になり、これらの問題について幾多の国際会議が開催されたのである。

 

しかし、ドイツと連合国の間のみならず連合国の内部においてすら容易に合意がえられず、紆余曲折ののちようやく第二回ロンドン会議(一九二一年四月二九日―五月五日)においてロンドン賠償協定が決定されることとなり、それが、ドイツに通達され、数日後ドイツにより受諾されたのであった(読者は、ドイツは一九一八年一一月五日に連合国との間で休戦協定を締結していたのであって、後者に無条件降伏していたのではないことに留意すべきである)。

 

第三章 「ロンドン協定の負担」においては、ロンドン協定が従来の諸賠償案よりも改善された面をもつが、なおそれはドイツに対しその支払能力を超える賠償支払いを求めており、したがって、決して実行されることのない一時しのぎの策以上のものではない、と主張されている。ロンドン協定の負担がドイツの支払能力を超えることの論証は、ドイツの輸出見通し、財政状態、国民所得の三つの面から試みられている。

 

第四章 「賠償金額」においては、ケインズ自身が賠償金額の見積りを行ない、それを基準にして、賠償委員会へ提出された各国の賠償請求額がいかに事実より過大であるかを示している(ケインズによれば、たとえばフランスの請求額は、控え目にみても実際の損害額の二ないし三倍に達するという)。なお賠償委員会は賠償請求額を一三二〇億金マルクと査定し、それは世間一般の予想をはるかに下回る額であったが、ケインズはそれが自己の見積額(賠償委員会と同じ基準では、一○四〇億金マルク)に近いことを歓迎している。

 

第五章 「恩給に対する要求の合法性」においては、賠償請求額の中に恩給や諸手当てを含めることの不当性が強調されている。右の項目にもとづく請求額は、ケインズの見積りでは七四〇億金マルク(前記の一〇四〇億金マルクというケインズの見積額の中に便宜的に含まれている)であり、したがってこれを含めなければ賠償額は大きく減少するだけでなく、これを含めうる根拠は法的にも道義的にもまったく存在しないというのが、ケインズの主張である。

 

第六章 「賠償、連合国間の債務、および国際貿易」においては、賠償受取りにあたってドイツから現物で受け取るかわりに貨幣で受け取るとか、特定財貨での受取りを指定するとかの工夫によって、賠償支払いが連合国の輸出競争力や国内産業に与える悪影響を軽減しうる可能性があるかどうかが検討され、結局のところ、右の悪影響は賠償額を削減することによってしか防止できないことが、示唆されている。

 

第七章 「条約の改正とヨーロッパの安定」においてケインズは、連合国のドイツに対する賠償請求額を三六〇億金マルク(ベルギーに対する六〇億金マルクの返済額を含む)に削減するように条約を改正する一方、イギリスとアメリカはドイツに対して、またヨーロッパ大陸の連合国諸政府に対してもっている債権をすべて帳消しするという恒久的解決策なるものを提案している。この提案は、オーストリアなどの新国家へ援助を与えるというもう一つの提案と相まって、ヨーロッパに復興と安定をもたらしうるものとして提示されたものである。

 

一 本書に対しては、いろいろな視点からの評価が可能であろう。『一般理論』にいたるケインズ経済学の中に占める位置如何という視点が考えられる。また、ドーズ案(一九二四年)からヤング案(一九二九年)へとますます寛大になっていき、ついに一九三二年に打切りになった賠償の歩みと本書との関連という視点もありえよう。のちのナチスの台頭との関連で、ケインズがドイツに対して寛大でありすぎたのではないかとの批判も、現実に存在した。いずれにしろ、本書をもっと大きな展望の中で評価することは読者自らの課題であり、訳者のなしうることではないし、ここはそのための場所でもない。そのような作業のために本書が日本の読者に少しでも近づきやすいものになれば、訳者の目的は達せられたことになる。

 

一 本書訳出には、名古屋大学名誉教授・塩野谷九十九氏のお勧めによって着手した。同教授には監閲の労をとっていただく予定であったが、都合により急遽、中央大学教授・浅野栄一氏に拙訳の監閲をお願いすることとなった。同教授の入念な監閱の結果、拙訳は著しい改善をみ、面目を一新することができた。また、本書の下訳は訳者の滞米中の作業であったため、いくつかの個所について、国連経済開発予測政策センター経済予測課長・河村溢男氏の御教示をいただいた。最後に、早坂忠氏訳『平和の経済的帰結』を参照し、用語や人名などの統一をはかることができた。

 

以上の方々に、またお名前を掲げなかったがいろいろな形で御配慮いただいた訳者の同僚、友人、大学院ゼミナリステンの方々に、心より厚くお礼を申し上げる次第である。もちろん、訳文の責任は訳者一人が負うものであり、ありうべき誤訳や不適切な訳については読者の腹臓のないご指摘をいただきたいと思う。

 

最後に、終始さまざまなお世話を下さった東洋経済新報社出版局・桃山剛志氏に心より謝意を表する次第である。

 

昭和五二年四月

 

千田純一