人口問題おすすめ本(教科書) – 日本と世界の課題、動向をチェック
人口問題の書籍一覧
ランキング
1. 未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書 2431) / 河合 雅司
2. 未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること (講談社現代新書 2475) / 河合 雅司
3. 人口問題と人類の課題 / 楠本 修
4. 人口戦略法案 人口減少を止める方策はあるのか / 山崎 史郎
5. 人口問題の正義論 / 松元 雅和、井上 彰
6. 人口問題と移民――日本の人口・階層構造はどう変わるのか (移民・ディアスポラ研究8) / 是川 夕、駒井 洋
7. 地方消滅 – 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書) / 増田 寛也
8. 人口で語る世界史 (文春文庫 モ 5-1) / ポール・モーランド、渡会 圭子
9. 2050年 世界人口大減少 / ダリル・ブリッカー、ジョン・イビットソン他
10. 人口は未来を語る: 「10の数字」で知る経済、少子化、環境問題 / ポール・モーランド、橘 明美
11. 「人口減少社会」とは何か: 人口問題を考える12章 / 友寄 英隆
12. 人口と日本経済 – 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書 2388) / 吉川 洋
13. 都心集中の真実――東京23区町丁別人口から見える問題 (ちくま新書) / 三浦 展
14. 人口学への招待: 少子・高齢化はどこまで解明されたか (中公新書 1910) / 河野 稠果
15. 人口問題のアポリア (21世紀問題群ブックス 17) / 竹内 啓
16. 中国 人口減少の真実 (日経プレミアシリーズ) / 村山 宏
17. 世界主要国・地域の人口問題 (人口学ライブラリー 8) / 早瀬保子/大淵寛 編著
18. 有森裕子と読む人口問題ガイドブック: 知っておきたい世界のこと、からだのこと / 有森 裕子、国連人口基金東京事務所
19. 人口減少で日本はどうなる? 未来の社会について考えよう! (楽しい調べ学習シリーズ) / 河合 雅司
20. 人口蒸発 「5000万人国家」日本の衝撃―人口問題民間臨調 調査・報告書― / 一般財団法人 日本再建イニシアティブ
21. 2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書 24) / 鬼頭 宏
22. 中国の人口問題 / 若林 敬子
23. ジェンダーと人口問題 (シリーズ・人口学研究 11) / 阿藤 誠、早瀬 保子
24. 人口減少と少子化対策 (人口学ライブラリー 16) / 髙橋 重郷、大淵 寛
25. 先進諸国の人口問題: 少子化と家族政策 / 阿藤 誠
26. データブック人口 (岩波ブックレット NO. 733) / 西川 潤
27. 日本の人口減少社会を読み解く: 最新デ-タからみる少子高齢化 / 京極 高宣、高橋 重郷
28. 日本の人口問題と社会的現実 第1巻 理論篇 / 若林 敬子
29. 現代人口学: 少子高齢社会の基礎知識 / 阿藤 誠
30. ソ連の人口問題: 21世紀ソ連予測への手がかり (World Books) / 島村 史郎
31. 中国の人口問題と社会的現実 / 若林 敬子
32. 人口減少社会は怖くない / 原田 泰、鈴木 準
33. 現代中国の人口問題と社会変動 / 若林 敬子
34. 人口: 21世紀の地球 (岩波ブックレット NO. 22) / 西川 潤
35. 人口問題 (NDL所蔵古書POD[岩波書店]) / 矢内原 忠雄
36. 人口減少下の制度改革と地域政策 (中央大学経済研究所研究叢書 55) / 塩見 英治、山崎 朗
37. 世界の人口開発問題 オンデマンド版 (人口学ライブラリー 12) / 阿藤 誠、佐藤 龍三郎
38. 人口問題の時代 (NHKブックス) / 浜 英彦
39. 人口変動と家族の実証分析 / 津谷 典子、菅 啓太ほか
40. 人口減少と日本経済 / 津谷 典子、樋口 美雄
41. 流入外国人と日本: 人口減少への処方箋 / 石川 義孝
42. 現代の人口問題 (シリーズ・人口学研究 1) / 黒田 俊夫、大淵 寛
43. 一人っ子政策と中国社会 / 小浜 正子
44. 世界の人口問題 / 今井 清一
日本と世界の人口問題とは?
人口問題は、ひとことで言うと「人が多すぎる/少なすぎる」ではなく、人口の規模・年齢構成・地域分布・移動( migration )が、経済・福祉・教育・医療・政治にどう噛み合うかという問題です。いまの世界では、国や地域によって課題がかなり違います。国連の最新推計では、世界人口は2024年の約82億人から増え続け、2080年代半ばに約103億人でピークを迎え、その後2100年には約102億人へ微減するとされています。また、すでに人口ピークを越えた国・地域がある一方で、今後も増加が続く地域もあり、人口動態の「二極化」が進んでいます。
同時に、世界全体では高齢化が急速に進んでいます。UNFPAは、世界の65歳以上人口比率が1974年の5.5%から2024年に10.3%へ上昇し、2074年には20.7%まで上がる見通しを示しています。また、現在すでに世界人口の6割超が、合計特殊出生率(TFR)が人口置換水準(2.1)を下回る国に住んでいるとしています。これは「人口減少国が特殊」というより、低出生率・長寿化が世界的に広がっていることを意味します。
世界の人口問題:いま起きていること
世界の課題は大きく分けると、①低出生率・高齢化が進む国、②若年人口が増える国、③その間をつなぐ移民・都市化・制度設計です。Lancet(GBD 2021)の大規模分析では、1950〜2021年に世界のTFRは 4.84→2.23 へ半減以上し、2021年時点で204の国・地域すべてで長期的な低下が確認されています。さらに将来推計では、低出生率化は続き、出生の地域分布は低所得地域、とくにサハラ以南アフリカにより集中していくと示されています。
ここで重要なのが、人口増加そのものよりも、雇用創出と人的資本形成が追いつくかです。たとえば世界銀行は南アジアについて、就業者比率が他の新興国・途上国地域より低く、増える生産年齢人口に対して雇用創出が追いついていないことを示し、「人口ボーナスを活かし切れていない」と警告しています。人口が若いことは自動的に成長につながるわけではなく、教育・雇用・女性就業・企業成長・制度改革がセットで必要、というのが研究・政策の共通認識です。
学術的には、Mason & Lee 系列の研究(NTA/National Transfer Accounts)で、人口ボーナスには「第一の人口ボーナス(働く年齢層の比率上昇による一時的効果)」と、「第二の人口ボーナス(貯蓄・人的資本投資の増加による持続的効果)」がある、という整理がよく使われます。彼らは、低所得国では若年層の労働生産性や人的資本投資の弱さが、ボーナスの大きさを左右すると論じています。
日本の人口問題:何が「複合課題」なのか
日本は、世界の中でも早い段階から、少子化・高齢化・人口減少が同時進行している国です。内閣府「高齢社会白書(2025年版サマリー)」では、2024年10月1日時点の総人口は 1億2380万人、65歳以上は 3624万人(29.3%) とされ、75歳以上が65–74歳を上回る規模になっています。さらに将来見通しとして、2070年には「約2.6人に1人が65歳以上」と示されています。
日本の人口減少をより長期でみると、国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)の2023年推計では、2020年国勢調査人口(1億2615万人)を基準に、2070年に約8700万人、65歳以上比率38.7%(中位仮定)と見込まれています。IPSSは同時に、今回改訂では国際移動(純移動)の前提が上方修正されており、それによって人口減少ペースはやや緩和される一方、高齢化率の上昇はなお進むと示しています。
足元の出生・死亡動向も厳しいです。厚労省の2024年「人口動態統計月報年計(概数)」では(※日本人事象の集計)、出生数68万6061人、TFR 1.15、死亡数160万5298人、自然増減▲91万9237人で、出生数・TFRは過去最低、自然減は過去最大の減少となりました。
日本の本質的な論点(「子どもが少ない」だけではない)
日本の人口問題を「出生数を増やせば解決」と単純化すると、かなり外します。研究では、少子化は単なる家計インセンティブ不足ではなく、雇用慣行・長時間労働・家事育児分担・結婚規範・住宅/教育コスト・将来不安などの組み合わせで起きると見られています。Demographic Researchの日本研究(Nagase & Brinton)は、夫の家事参加と第2子出生の関係を、日本の労働市場制度・働き方文化と結びつけて分析しています。
アジア太平洋地域のレビュー論文でも、低出生率は「女性の高学歴化や就業参加が進んだのに、家庭内のケア負担や職場制度が追いつかない」こと、そして不安定就業・高コスト化・長時間労働などが重なって生じる、と整理されています。また、政策は子どもを産ませること自体ではなく、希望する人が産み育てられる条件整備(保育、柔軟な働き方、休業、ケア負担の再分配)として設計すべきだ、という人権ベースの議論も強いです。
「移民で解決」「出生率で解決」はなぜ難しいのか
日本ではよく「移民を増やせばいい」「出生率を上げればいい」という議論が出ますが、学術的にはどちらか単独で短中期に年齢構成を大きく戻すのは難しいとされています。Parsons & Gilmour(PLOS ONE)は日本のシミュレーションで、出生率政策は効果発現に時間がかかり、移民政策も現実的でない規模が必要になる可能性を示し、当面は「就業参加・高齢就労・生産性向上」などの適応策が重要だと結論づけています。
これは「何もできない」という意味ではなく、人口構造を即座に反転させる政策はないという意味です。だからこそ、人口政策は「反転」よりも、
・少子化の構造要因の緩和(働き方・家族政策・住宅・教育)
・高齢社会への適応(健康寿命、就業、介護、生産性)
・人口移動の設計(地域・国際移動の受け皿)
を同時にやる必要があります。Bloom らの古典的だが重要なレビューも、高齢化の成長への影響はあるが、女性就業率上昇や定年延長などの制度改革で緩和可能だと述べています。
日本と世界に共通する「政策の勘所」
人口問題の政策で大事なのは、人数を直接いじる発想より、ライフコースを支える制度を作る発想です。学術・国際機関の知見をまとめると、次の方向が比較的合意されています。
低出生率国:保育・教育費負担の軽減、柔軟な就労、男女のケア分担、住宅・雇用の安定、希望出生の実現支援(強制的な出生促進ではない)
若年人口増加国:雇用創出、女性就業、教育の質、都市インフラ、企業成長、気候リスク対応(人口ボーナスを“雇用ボーナス”に変える)
高齢化社会全般:健康寿命の延伸、高齢者の就業機会、再教育、社会保障の持続可能性、世代間公平の再設計