2章 – 演習と応用 4
a.各配分での生産量(1日あたり)
各人は10時間働くので、各人の最大生産は次のとおりである。
- ラリー:芝刈り10区画 または 洗車10台
- モー:芝刈り10区画 または 洗車20台
- カーリー:芝刈り20区画 または 洗車10台
これより、
(A)3人全員が芝刈りに全時間である。
- 芝刈り:10 + 10 + 20 = 40区画
- 洗車:0台
(B)3人全員が洗車に全時間である。
- 芝刈り:0区画
- 洗車:10 + 20 + 10 = 40台
(C)3人全員が半分ずつ(芝5時間・洗車5時間)である。
- ラリー:芝5区画、洗車5台
- モー:芝5区画、洗車10台
- カーリー:芝10区画、洗車5台
合計である。
- 芝刈り:5 + 5 + 10 = 20区画
- 洗車:5 + 10 + 5 = 20台
(D)ラリー半分ずつ、モーは洗車のみ、カーリーは芝刈りのみである。
- ラリー:芝5区画、洗車5台
- モー:洗車20台
- カーリー:芝20区画
合計である。
- 芝刈り:5 + 0 + 20 = 25区画
- 洗車:5 + 20 + 0 = 25台
b.生産可能性フロンティア(PPF)の図示と A,B,C,D の位置
横軸を「洗車(台/日)」、縦軸を「芝刈り(区画/日)」とする。
比較優位(機会費用)を見ると、洗車の機会費用(芝刈りで支払うコスト)は次のとおりである。
- モー:洗車1台あたり芝0.5区画(最も安い)
- ラリー:洗車1台あたり芝1区画
- カーリー:洗車1台あたり芝2区画(最も高い)
よって、洗車を増やすときは モー→ラリー→カーリー の順に芝刈りから洗車へ回すのが効率的である。
その結果、PPFの折れ点(頂点)は次になるのである。
- 全員芝刈り:(洗車0, 芝40)
- モーを全て洗車へ:(洗車20, 芝30)
- 次にラリーを全て洗車へ:(洗車30, 芝20)
- 全員洗車:(洗車40, 芝0)
各点は次に位置するのである。
- A = (0,40)
- B = (40,0)
- C = (20,20)(PPFの内側)
- D = (25,25)(PPF上。ちょうど第2区間上)
c.PPFがそのような形をしている理由
PPFが原点に対して「外側にふくらむ(限界代替率が逓増する)」形になるのは、労働者ごとに比較優位(=機会費用)が異なるからである。洗車を増やす初期段階では、洗車の機会費用が最も低いモーから芝刈り時間を洗車へ回すため、芝刈りの減少は小さい。しかし洗車をさらに増やすと、次にラリー、最後に機会費用が最も高いカーリーまで洗車へ回す必要が生じ、洗車を1台増やすために失う芝刈りが大きくなる。よって、PPFの傾き(芝刈り/洗車の犠牲)が次第に急になる形となるのである。
また本問は労働者が3人しかいないため、滑らかな曲線ではなく、労働者の切替点で折れ曲がる折れ線になるのである。
d.非効率な配分の有無
非効率な配分は C である。Cは (洗車20, 芝20) だが、洗車20台を保ったまま芝刈りを30区画まで増やせる。例えば、モーを洗車10時間(20台)に専念させ、ラリーとカーリーを芝刈り10時間ずつにすれば (洗車20, 芝30) を達成でき、Cを厳密に改善できる。よってCはPPFの内側にあり非効率である。
一方で AとBは端点としてPPF上にあり効率的であり、DもPPF上((25,25))にあるため効率的である。
