1.1.1 無差別曲線と効用関数 – 問題5(解答・解説)

問題5の解説

この問題は、飽和点をもつ選好についての問題です。
点 $E$ は、この消費者にとっていちばん望ましい点です。
つまり、この人は

  • $E$ に近づくほど満足度が高くなり
  • $E$ から離れるほど満足度が低くなる

という選好をもっています。
ふつうの「多いほどよい」という選好とは違うのがポイントです。

答え

誤っているものは (3) です。

まず、この問題の見方

この図では、

  • $E$ が最も好ましい点
  • $E$ に近い無差別曲線ほど高い効用
  • $A,\ B,\ C,\ D$ は同じ無差別曲線上

となっています。
つまり、$A,\ B,\ C,\ D$ はすべて

$E$ から同じ程度だけ離れているので、同じ効用水準

だと考えればよいです。

各選択肢の確認

(1) $A$、$B$、$C$、$D$ は同じ無差別曲線上にあるので、これらの点はすべて同じ効用水準を与える
これは正しいです。

なぜか
無差別曲線とは、同じ満足度を与える点の集まりです。
$A,\ B,\ C,\ D$ は同じ無差別曲線上にあるので、効用水準は同じです。

やさしく言うと
同じ線の上にある点は、消費者にとって「同じくらい満足」です。
したがって、(1) は正しいです。

(2) 点 $A$ の近辺では、$X$ 財を増やして $E$ に近づく方向へ動くと、効用水準は上昇する
これも正しいです。

なぜか
$A$ は $E$ より左側にあります。
したがって、$A$ の近くで $X$ 財を増やすと、右へ動くことになります。
右へ動くことで $E$ に近づくなら、効用は上がります。
この問題では「$E$ に近いほど高効用」なので、これは正しいです。

やさしく言うと
$A$ から $E$ に近づくように動けば、より理想の点に近づくので満足度は上がります。
したがって、(2) は正しいです。

(3) 点 $C$ の近辺では、$X$ 財と $Y$ 財をともに増やせば、必ず効用水準は上昇する
これは誤りです。
したがって、これが答えです。

なぜ (3) が誤りなのか

$C$ は、図では $E$ より右上にあります。
ここで $X$ 財と $Y$ 財をともに増やすと、点はさらに右上へ動きます。
すると、$E$ からはむしろ遠ざかることになります。

この問題では、

  • $E$ に近づけば効用上昇
  • $E$ から遠ざかれば効用低下

なので、$C$ からさらに右上へ行くと、効用は上がるどころか下がる可能性があります。
少なくとも、「必ず上昇する」は明らかに言いすぎです。

やさしく言うと
この消費者は、何でも多ければよいわけではありません。
$E$ がちょうどいちばん良い点です。
$C$ はすでに $E$ より右上にあるので、そこからさらに $X$ も $Y$ も増やすと、
理想点から離れてしまうのです。
だから、

$X$ 財と $Y$ 財をともに増やせば、必ず効用が上がる

はまちがいです。

(4) この図では、右上に行けば常に効用水準が高くなるとは限らない
これは正しいです。

なぜか
ふつうの消費者理論では、「財は多いほどよい」と考えることが多いです。
その場合は、右上に行くほど効用が高くなりやすいです。
でもこの問題では違います。
この消費者には飽和点 $E$ があるので、
右上へ行けばよいとは限りません。
たとえば、$E$ より右上に行きすぎると、むしろ $E$ から離れてしまうので効用は下がります。

やさしく言うと
この図では「多ければ多いほど良い」ではなく、
ちょうどよい量があるのです。
だから、右上に行けばいつでも満足度が上がるとは言えません。
したがって、(4) は正しいです。

ポイント

  • (1) 正しい
    → 同じ無差別曲線上の点は同じ効用
  • (2) 正しい
    → $A$ から $E$ に近づく方向へ動けば効用は上がる
  • (3) 誤り
    → $C$ から $X$ と $Y$ をともに増やすと、$E$ から遠ざかるので効用が上がるとは限らない
  • (4) 正しい
    → この選好では、右上ほど常に高効用とは限らない

誤っているものは (3) です。

この問題の最大のポイントは、
「飽和点があると、財を増やせば必ずうれしいわけではない」
ということです。
$C$ のように、すでに理想点 $E$ の右上にいるなら、
さらに $X$ も $Y$ も増やすと、むしろ理想点から離れてしまいます。
だから (3) が誤りになります。