1.1.1 無差別曲線と効用関数 – 問題2(解答・解説)
問題2の解説
効用関数は
$$
u(x,y)=\min\{x,\,2y\}
$$
です。
これは、$x$ と $2y$ のうち、小さいほうが効用になるという意味です。
まず、この効用関数の意味
この形は完全補完の選好です。
つまり、2つの財を決まった組み合わせで使いたいタイプです。
たとえば、
- 左右1足ずつ必要な靴
- コーヒーと砂糖
- プリンターとインク
のように、片方だけたくさんあってもあまり意味がない、というイメージです。
この問題では
$$
u(x,y)=\min\{x,\,2y\}
$$
なので、
- $x$ が少ないなら $x$ が効用を決める
- $2y$ が少ないなら $2y$ が効用を決める
ことになります。
つまり、足りないほうが効用を決めるのです。
各選択肢の確認
(1) 無差別曲線は折れ曲がったL字型になる
これは正しいです。
なぜか
完全補完の選好では、片方だけ増やしても意味がない範囲があります。
そのため無差別曲線は、なめらかな曲線ではなく、L字型になります。
この問題では
$$
u(x,y)=\min\{x,\,2y\}
$$
なので、折れ曲がる点は
$$
x=2y
$$
を満たすところに並びます。
やさしく言うと
$x$ と $y$ をバランスよく持っていないと意味がないので、
無差別曲線は「角のあるL字型」になります。
したがって、(1) は正しいです。
(2) 点 $(6,3)$ において、$Y$ 財の数量を変えずに $X$ 財だけを少し増やせば、効用水準は必ず上昇する
これは誤りです。
したがって、これが答えです。
まず点 $(6,3)$ の効用を計算する
$$
u(6,3)=\min\{6,\,2\cdot 3\}=\min\{6,6\}=6
$$
です。
この点は
$$
x=2y
$$
を満たしているので、ちょうどL字の折れ曲がり点です。
ここで $y=3$ のまま、$x$ だけ増やしてみる
たとえば $x=7$ にすると、
$$
u(7,3)=\min\{7,6\}=6
$$
です。
たとえば $x=100$ にしても、
$$
u(100,3)=\min\{100,6\}=6
$$
で、やはり効用は $6$ のままです。
つまり何が言えるか
$(6,3)$ では、$y$ を固定したまま $x$ だけ増やしても、
不足している側は $2y=6$ のままなので、効用は増えません。
したがって、
「必ず上昇する」
という言い方はまちがいです。
やさしく言うと
この点では、$x$ と $2y$ がちょうど同じです。
でも $y$ を増やさずに $x$ だけ増やしても、
余るだけで満足度は上がりません。
だから (2) は誤りです。
(3) 点 $(4,2)$ と点 $(5,2)$ は同じ効用水準を与える
これは正しいです。
計算してみる
まず $(4,2)$ では
$$
u(4,2)=\min\{4,4\}=4
$$
次に $(5,2)$ では
$$
u(5,2)=\min\{5,4\}=4
$$
となります。
どちらも効用は $4$ です。
したがって、(3) は正しいです。
やさしく言うと
$y=2$ のときは $2y=4$ です。
なので、$x$ が $4$ でも $5$ でも、効用を決めるのは小さいほうの $4$ です。
だから両方とも同じ効用になります。
(4) 折れ曲がり点では、通常の意味で接線の傾きから一意的な限界代替率を定めることはできない
これは正しいです。
なぜか
普通、限界代替率は無差別曲線の接線の傾きから考えます。
でもL字型の折れ曲がり点では、曲線がなめらかではありません。
折れ曲がり点には、
- 横向きの部分
- 縦向きの部分
がぶつかっているので、
1本のきれいな接線が決まりません。
そのため、通常の意味では限界代替率を一意に定めることができません。
やさしく言うと
角になっている場所では、
「この点での傾きはこれです」と1つに決められない、ということです。
だから (4) は正しいです。
ポイント
- (1) 正しい
→ 完全補完なので無差別曲線はL字型 - (2) 誤り
→ $(6,3)$ で $x$ だけ増やしても効用は上がらない - (3) 正しい
→ $(4,2)$ も $(5,2)$ も効用は $4$ - (4) 正しい
→ 折れ曲がり点では接線の傾きが1つに決まらない
誤っているものは (2) です。