マンキュー経済学Ⅰ(ミクロ編) – 5章 – 演習と応用12
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12.世界的干ばつでは農家の総収入が増えうるのに、カナダ州の干ばつではカナダ州農家の総収入が減りうる理由
問い
なぜ次のようなことが起こりうるのか。
「世界中で干ばつが発生すると、農家が穀物販売から得る総収入が増加するが、カナダ州で干ばつが発生すると、カナダ州の農家が得る総収入は減少する。」
結論(先に)
ポイントは、干ばつの範囲が違うため、価格への影響と各農家の販売量への影響が違うからである。
- 世界的干ばつ:市場全体の供給が減るので、世界価格が大きく上昇する
- カナダ州だけの干ばつ:世界全体から見れば供給減は小さく、価格はあまり上がらない
その結果、総収入
$$
P \times Q
$$
$$
P \times Q
$$
の動きが異なりうる。
基本の式
農家の総収入は
$$
TR=P \times Q
$$
$$
TR=P \times Q
$$
である。
干ばつが起きると、通常は各農家の収穫量(販売量) $Q$ は減る。
問題は、そのとき価格 $P$ がどれだけ上がるかである。
1.世界中で干ばつが発生した場合
何が起きるか
- 穀物の世界全体の供給が大きく減少する(供給曲線が左に大きくシフト)
- 穀物価格が大きく上昇する
なぜ総収入が増えうるか
穀物需要はしばしば比較的非弾力的(食料として必要)なので、価格上昇に対して需要量はあまり減らない。
そのため、価格上昇の効果が数量減少の効果を上回ると、
$$
TR=P \times Q
$$
$$
TR=P \times Q
$$
は増加しうる。
つまり、世界的な供給ショックでは、農家全体として価格上昇の恩恵が大きく出ることがある。
2.カナダ州だけで干ばつが発生した場合
何が起きるか
- カナダ州の農家は収穫量が減る(自分の $Q$ は大きく減る)
- しかし世界市場全体で見ると供給減は限定的で、価格上昇は小さい(またはほとんどない)
なぜカナダ州農家の総収入が減りうるか
この場合、カナダ州農家にとっては
- 自分の販売量減少(マイナス)が大きい
- 価格上昇(プラス)は小さい
ので、結果として
$$
P \times Q
$$
$$
P \times Q
$$
が減少しやすい。
直感的な言い方
- 世界中で不作なら「みんなの供給が減る」ので価格が大きく上がる
- 一地域だけ不作なら「自分だけ収穫が減る」が、価格は世界市場であまり上がらない
この違いが、総収入の結果の違いを生む。