マンキュー経済学Ⅰ(ミクロ編) – 5章 – 演習と応用10

10.喫煙を対象とした公共政策

前提

  • タバコ需要の価格弾力性(絶対値):約 0.4
  • 現在価格:1パック 5ドル
  • 政府の目標:喫煙を 20%減少させたい

a.喫煙を20%減少させるには、価格をどこまで引き上げるべきか

需要の価格弾力性の式(符号つき)を使うと

$$
E_d=\frac{\%\Delta Q}{\%\Delta P}
$$

ここで

  • $\%\Delta Q=-20\%$
  • $E_d=-0.4$

なので、

$$
-0.4=\frac{-20\%}{\%\Delta P}
$$

$$
\%\Delta P=\frac{20\%}{0.4}=50\%
$$

つまり、価格を 50%引き上げる必要があります。
現在価格が5ドルなので、

$$
5 \times 1.5 = 7.5
$$

したがって、目標達成のための価格は

$$
\text{約 }7.50\text{ドル/パック}
$$

です。


b.恒久的な価格引き上げの影響は、1年後と5年後のどちらが大きいか

結論として、5年後のほうが影響は大きいと考えられます。

理由

時間がたつほど人々は行動を調整できるからです。

  • 禁煙を試みる
  • 喫煙本数を減らす
  • 若年層が喫煙を始めにくくなる
  • 禁煙補助策や代替手段を使う

このため、タバコ需要は一般に 長期のほうが価格弾力性が大きい(価格に反応しやすい)と考えられます。


c.10代の若者の需要の価格弾力性が、大人より高い理由

10代のほうが価格弾力性が高い(価格に敏感)理由として、主に次が挙げられます。

1. 所得(使えるお金)が少ない

10代は大人より可処分所得が少ないため、価格上昇の負担が相対的に大きい。
そのため、価格が上がると購入を減らしやすい。

2. 喫煙習慣・依存が比較的弱い(場合が多い)

大人の長期喫煙者は習慣化・依存が進んでいることが多く、価格が上がってもやめにくい。
10代は比較的それが弱く、価格変化に反応してやめたり始めなかったりしやすい。

3. 代替・回避行動をとりやすい

10代は「買わない」「本数を減らす」「他の行動に置き換える」といった選択をしやすい。

4. 新規喫煙開始の抑制効果が大きい

価格上昇は、既に吸っている人だけでなく、これから吸い始める人にも影響する。
10代はその「開始」段階にいる人が多く、価格上昇の影響を強く受ける。