経済学者が貿易制限(関税・輸入枠・輸出規制など)に反対しがちなのは、基本的にそれが

  • 国全体の効率を下げて(死荷重)
  • 消費者の選択肢を減らし価格を上げ
  • 比較優位にもとづく“交易利益”を小さくする(または失わせる)

からである。

もう少し噛み砕くと

みんなが得する余地(交易利益)を潰しやすい

国際分業で安く作れる財を輸入し、得意な財を輸出するほうが、同じ資源でより多くの財・サービスを生みやすいのである。制限はその分業を妨げるのである。

消費者が損をして、社会全体でも損が残る

関税などで国内価格が上がると、消費者余剰が減るのである。国内生産者が一部得をして政府も税収を得るが、最終的に誰にも戻らない損(死荷重)が発生するのである。

保護される産業の“競争圧力”が弱まり、生産性が上がりにくい

競争が弱いと、コスト削減・技術改善・新陳代謝が進みにくくなり、長期的に産業全体が弱くなることがあるのである。

報復・貿易戦争のリスク

自国が制限すると相手国も報復しやすく、輸出産業まで巻き込んで損失が拡大するのである。

※もちろん例外として「国防など安全保障」「幼稚産業保護」「国内の急激な調整コスト」「外部性」「特定国の不公正貿易」などを理由に、限定的な介入を議論することはあるのである。
ただし一般論としては、貿易制限は社会全体のパイを小さくしやすいので反対されやすい、という整理である。