2章 – 演習と応用 2
2.ある経済において、軍需品と消費財(以下、「銃」と「バター」と呼ぶ)が生産されているとする。
a. PPF(生産可能性フロンティア)と、外に張った形(凸状)になる理由(機会費用)
PPFは「与えられた資源・技術の下で、銃とバターを最大限どの組合せまで生産できるか」を表す曲線である。
外に張った形(原点に対して“ふくらむ”形)になるのは、ふつう機会費用が逓増するからである。
ある程度までは、銃生産に回してもバター生産をあまり犠牲にせずに済む(転用しやすい資源がある)のである。
しかし銃をどんどん増やしていくと、バター向きに特化した労働・設備まで銃に回す必要が出てくる。
→ 銃をさらに1単位増やすために失うバター(=機会費用)がどんどん大きくなる。
→ 結果としてPPFは外に張った形になるのである。
(数学的には、PPFの傾き
∣dB/dG∣
∣dB/dG∣ が右に行くほど大きくなる=限界機会費用が上がる、ということである。)
b. 実現不可能な点/実現可能だが非効率な点
実現不可能:PPFの外側(曲線より上側)の点である。
いまの資源・技術では届かないのである。
実現可能だが非効率:PPFの内側の点である。
資源が遊んでいる・非効率で、銃もバターも同時に増やせる余地があるのである。
効率的:PPF上の点である(これ以上は片方を増やすと他方が減るのである)。
c. タカ派(Hawks)とハト派(Doves)の選ぶ点
タカ派:より強い軍=銃が多い点(PPFの右寄り、バター少なめ)である。
ハト派:小さな軍=銃が少ない点(PPFの左寄り、バター多め)である。
(どちらもPPF上の点であるが、社会の選好が違うので選ぶ場所が違う、という描写である。)
d. どちらがより大きい「平和の配当」(バター増産)を得るか
タカ派(Hawks)の方が、より大きな平和の配当を得ると言えるのである。
理由:
PPFが外に張った形(機会費用逓増)だと、銃が多い領域ほど銃の限界機会費用(失うバター)が大きいのである。
つまり「銃を同じだけ減らす」なら、高い銃水準から減らす方が、解放される資源が“バター向きに強い”分だけバターがたくさん増えるのである。
下の例(図で使った数値例)だと:
タカ派:銃 80→60(-20)で バター 36→64(+28)である。
ハト派:銃 20→0(-20)で バター 96→100(+4)である。
となり、同じ -20 の銃削減でもタカ派の方がバター増が大きくなるのである。
